税金計算方法の基本!所得税の確定申告で知っておきたいポイント




「今年は確定申告をしなくてはいけないけど、何から始めたらよいのかさっぱりわからない…」



などなど、税金計算の方法の基本的な部分を理解したいと考えておられる方も多いのではないでしょうか。



今回は、これから確定申告を行う必要がある個人事業主の方向けに、所得税の税金計算方法について具体的に説明させていただきます。







税金計算方法の基本公式を理解しよう




まずは税金計算の方法について、基本的な計算式を理解しておきましょう。



毎年2月16日~3月15日に行う確定申告では、所得税という税金を計算して納付します。





所得税の金額=(①総収入金額-②必要経費-③青色申告特別控除額-④所得控除額)×⑤税率-⑥税額控除


 


私が過去にかかわらせていただいた個人事業主のお客様の場合、この基本的な計算式を理解されている人とそうでない方とで、税金計算の理解が大きく違っていたという印象があります。



この計算式を理解するためには、上の①~⑥の言葉の意味について正しく理解しておく必要があります。



以下で順番に解説させていただきますね。




①総収入金額の意味




①総収入金額というのは、ごく簡単にいうと「売上高」のことです。

八百屋さんであれば野菜をお客さんに売って得た代金の1年間の合計額、不動産投資をしている大家さんであれば受け取った家賃や礼金の合計額ということになります。



総収入金額には、事業に関連して得た収入のすべてを記載する必要があります。



メインの事業から得た収入だけではなく、雑収入的に得たお金についても総収入金額に含めなくてはなりませんから注意しておきましょう。


②必要経費に含まれる出費と含まれない出費




②の必要経費は、事業を営んでいくうえで必要になった支出のことをいいます。

商品の仕入れ代金や、オフィスの家賃、従業員に対して支払ったお給料などが必要経費ということになります。



必要経費について考えるときに注意しておかなくてはならないのが、事業主のプライベートな家庭の支出と、事業に関連した支出を分けなくてはならないということです。



まだ事業を始めて間もないという方の場合、例えば自宅を事務所兼オフィスとして使っているということもあるでしょう。



このような場合の家賃や水道光熱費といった支出は、プライベートな家庭の支出と事業に関連した支出がごちゃまぜになっている可能性があります。


私自身、事業主として自宅をオフィスとして活動していますので、家賃や光熱費、さらに接待交際費などについても家事按分を行って税金の計算を行うようにしています。



家事按分のやり方




家庭に関する支出は必要経費に含めることができませんから、上のようなケースでは自宅の総面積のうち、仕事で使っている部屋の面積の割合分だけ必要経費に含めるといったような処理をする必要があります。



これを家事按分(かじあんぶん)というように呼ぶことがあります(呼び方はいろいろです)



例えば、総面積100㎡の自宅のうち、30㎡だけ仕事部屋が占めているというような場合なら、30㎡÷100㎡=30%だけ必要経費に含めることができます。



家賃が10万円だったとすると、10万円×30%=3万円だけ必要経費として含めるというような処理をすることになります(水道光熱費などに関しても同様です)


③青色申告特別控除額の意味




青色申告特別控除額というのは、個人事業主の方が会計ソフトなどを使ってきちんと経理を行っている場合に計算式に含めることができる数字のことです。



ごく簡単にいうと、この青色申告特別控除額を計算に含めることができれば、それだけ税金の負担額は小さくなることになります。



具体的には、青色申告特別控除額は65万円ですから、所得税の税率が5%だったとすると、65万円×5%=3万2500円だけ安くなります。



この青色申告特別控除額を税金計算に含めることを認めてもらうためには、事業年度の初めに「青色申告承認申請書」という書類を税務署に提出しておく必要があります。



また、1年間にわたって会計ソフトなどを使い、簿記のルールに従って税金の計算を行う必要があります(手書きでも構いません)


④所得控除額の意味




④の所得控除額というのは、税金の計算を行うそれぞれの人の事情に応じて、税金の負担を小さくしてもらうことができる仕組みのことをいいます。



例えば、同じ年収500万円の人であったとしても、独り身の人と、奥さんと子供3人がいるという人とでは家計の負担はまったく違いますよね。



このような場合に、税金の計算では「家族1人に対して◎円だけ税金を安くしてあげます」というように、特別な計算の仕方が認められるのです(この場合の所得控除を「扶養控除」といいます)


例えば私の場合であれば専業主婦の奥さんと2人で生活していますので、配偶者控除という所得控除を計算に含めています。



同様に、医療費をたくさん支出したという場合(医療費控除)や、寄付金をたくさん支出したという場合(寄付金控除)も所得控除を認めてもらうことができます。



所得控除には、以下のような種類があります。


  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄付金控除
  • 寡婦・寡夫控除
  • 勤労学生控除
  • 障害者控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除
  • 青色申告特別控除



⑤所得税率は人によって違う




ここまでの①~④を計算すると、「課税される所得金額」を計算することが可能になります。



この「課税される所得金額」がなぜ重要かというと、この金額によって所得税の税率が変わるからです。



日本では「累進課税(るいしんかぜい)」という仕組みが採用されています。



ごく簡単に言うと「所得の高い人ほど税率が高くなる」という仕組みになっており、その判断をするための数字が「課税される所得金額」というわけですね。



日本の所得税率は、例えば課税される所得金額が195万円以下であれば5%、195万円~330万円以下であれば10%…というように、段階的に5%~45%まで決まっています。



なお、所得税率が10%以上となる場合には、一定の「控除額」を差し引きすることが認められます。


⑥税額控除の意味




最後に、⑥の税額控除について理解しておきましょう。



税額控除というのは、一定の条件を満たす支出をした場合に、一定額を税金からそのまま差し引きしてもらうことができる仕組みのことです。



④の所得控除とやや似ていますが、所得控除が「一定額×税率」で計算されるのに対して、税額控除は「一定額そのまま」が差し引きされるという違いがあります。



税額控除で代表的なのはいわゆる「住宅ローン控除」です。



住宅ローン控除では「年末時点で残っている住宅ローン残高×1%」を10年間にわたって税金の負担から差し引きしてもらうことができます。



住宅ローンの年末残高が3000万円だったとすると、3000万円×1%=30万円を所得税の金額からそのまま差し引きしてもらうことが可能になります。



税額控除には、住宅ローン控除のほかには以下のようなものがあります。


  • マイホームの取得等と所得税の税額控除(住宅ローン控除)
  • 居住者に係る外国税額控除
  • 非居住者に係る外国税額控除
  • 配当所得があるとき(配当控除)
  • 政党等寄附金特別控除制度
  • 認定NPO法人に寄附をしたとき
  • 公益社団法人等に寄附をしたとき
  • 試験研究費の総額に係る税額控除制度
  • 特別試験研究に係る税額控除制度
  • 雇用者の数が増加した場合の税額控除
  • 雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除



具体例で計算してみよう




実際に、①~⑥に以下のような数字を入れて所得税の金額を計算してみましょう。


  • ①総収入金額:500万円
  • ②必要経費:200万円
  • ③青色申告特別控除額:65万円(どなたでも同じです)
  • ④所得控除額:基礎控除38万円+扶養控除38万円=76万円
  • ⑤税率:「課税される所得金額」が「500万円-200万円-65万円-76万円=159万円」ですので、5%ということになります。
  • ⑥税額控除:今回は0円とします。


所得税の計算式は以下の通りですので、①~⑥をこの計算式にあてはめます。



所得税の金額=(①総収入金額-②必要経費-③青色申告特別控除額-④所得控除額)×⑤税率-⑥税額控除





所得税の金額=(①500万円-②200万円-③65万円-④76万円)×⑥5%-⑥0円=7万9500円


 



今回のケースでは、所得税の金額は7万9500円と計算することができました。


当期利益を計算する前の処理




個人事業主の方が所得税の計算を行う際には、まず「総収入金額-必要経費」で当期利益の金額を計算することになります。



当期利益を計算する際には、以下のような注意点があり、特別な処理が必要になることがあります。


売上締め日が月末でない場合




継続的に1社の得意先に対して商品を販売するような事業を営んでおられる方の場合、毎回代金をいただくと事務処理が多くなってしまいます。



そのため、一定の「締め日」を設けてまとめて支払いをしてもらっているということが多いでしょう。



例えば毎月15日を締め日にしているという場合であれば、毎月16日~翌月15日までに売り上げた商品の代金をまとめていただくということになります。



会計の処理としては毎月15日に集計をして請求書を作成すると同時に、会計ソフトなどにその請求書の金額を打ち込むという形をとっていることが多いでしょう。


締め日がまだきていない12月分の売上を「総収入金額」に含める処理




このとき、注意するべきなのは12月分の売上については、12月末日時点ではまだ締め日がきていないことです(12月分の売上は1月15日が締め日)



そのため、会計ソフト上では12月分の売上が入っていないことになります。



上の①「総収入金額」の部分でも説明させていただいた通り、総収入金額には「1年かで事業を通して得たすべての収入」を記載しなくてはなりませんから、まだ金額が確定していない12月分の売上についても含めなくてはならないのです。



上のような15日締めのケースでは、12月31日時点までに請求が確定している売上だけを集計し、総収入金額に含めるという処理をしなくてはなりません。



1月15日時点で作成される12月分の請求書の金額と、決算書上に記載される12月分の売上金額とは一致しないことになりますから、注意しておきましょう。


現金主義で計算している場合




会計の計算方法には、大きく分けて「現金主義」と「発生主義」の2種類があります。



現金主義というのは、その名の通り「現金が入ってきたとき、出ていったとき」に会計ソフトなどに入力する作業を行う方法のことです。



一方で、発生主義というのは「収入が発生した時点、あるいは支出が発生した時点」で会計ソフトに入力作業を行う方法のことです。



現金主義で入力作業をしている場合、12月分については決算書上に含まれない可能性がありますから、ここでも特別な処理が必要になります。



やや分かりにくいかと思いますので具体例で考えてみましょう。


現金主義と発生主義の違い




例えば、家賃の金額というのは毎月一定額で決まっているのが普通ですよね。



実際に銀行口座から家賃が引き落とされるのが毎月10日だったとしても、月初にそのオフィスを使うことが確定しているのであればその月分の家賃は1日の時点でもすでに支払いが確定していることになります。



通常、家賃というのは翌月分を約束になっていますから、上の例で12月10日に支払った家賃というのは翌年1月分の家賃ということになりますね。



税金の計算に含める必要経費というのは「その年1年間の事業のために要した支出」ですから、翌年1月分の支出を今年の必要経費に含めることはできません。



そのため、12月10日に支払った翌年1月分については「前払費用」(必要経費には含まれません)という項目を使って処理を行い、翌年にその前払費用の金額を支払い家賃に振り替えるという処理が必要になるのです。



家賃以外の支出についても同様ですので、「どの支出が今年の分なのか」を正しく把握したうえで、適切に処理をしなくてはなりません。


確定申告は自分でできる?




ここまで、個人事業主の方向けに所得税の税金計算方法を解説させていただきましたが、「とても自分ではできそうにない…」と感じてしまった方もおられるかもしれません。



会計事務になじみのない方の場合、簡単な経理処理であっても思いのほか時間がとられてしまうということもめずらしいことではありません。



経理作業は事業の状況を把握し、税金を正しく計算するために重要な仕事です。





しかし、社長が経理に時間がとられてしまって外回りの営業や、既存顧客のサポートにあてる時間がとられてしまう…というのでは本末転倒となってしまうこともあるので注意が必要です。


 


税理士への相談も検討しよう




そのような場合には、日ごろの経理や税金の計算については税理士などの専門家に任せてしまい、社長は経営者としての仕事に集中するという選択肢も検討してみる必要があるでしょう。



あるいは、簡単な経理作業については家族に手伝ってもらったり、アルバイトの人にお願いしたりして、そのチェックを税理士に依頼するという形も費用対効果の面でメリットが大きい場合もあります。



経理作業に時間がとられてしまって、本来社長として集中するべき仕事に集中できない…とお悩みの方は、税理士などの専門家に依頼することも検討してみてくださいね。



税理士に依頼した場合、月額顧問料という形で毎月支払う費用と、決算料という形でまとまった形で支払う費用の両方が発生するのが一般的です。



事業の規模にもよりますが、月額顧問料は2万円~5万円、決算料は月額顧問料の3か月分というのが相場です。


まとめ




今回は、これから確定申告の作業を行う必要がある個人次号主の方向けに、所得税の税金計算方法について基本的な部分を説明させていただきました。



実際に計算を行う際には税理士などのアドバイスを受けるのが適切ですが、その場合にも基本的な計算方法についてはあなた自身が理解しておくことが大切です。



本文で説明させていただいた基本的な計算式についてはぜひ知識として理解しておいてくださいね。

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