相続税はアパートで節税できる?不動産経営でできる税金対策




相続税は、相続が発生した時点(つまり財産を持っている人が亡くなった時点)で所有している財産の金額をもとに計算されます。



亡くなった時点で所有していた財産のことを相続財産と呼びますが、相続財産はアパートなどの不動産のかたちに換えておくと節税対策になることがあります。



今回は、アパート経営によって相続の節税を行う仕組みについて解説させていただきます。




相続税がアパート経営で節税になる仕組み







上でも少し触れましたが、相続税の金額は、相続が発生した時点で亡くなった人が所有していた財産の金額によって計算されます。



このとき、残されている金額を一定の条件に従って計算した金額を、相続税評価額と呼びます。



この相続税評価額が小さくなるほど相続税の負担は小さくなりますから、何らかの方法によって相続税評価額の金額を小さくすることを考えるのが相続税対策の基本となります。



※結論から言うと、アパートの形で財差を持っておくと相続税評価額が小さくなります(どのように小さくなるかは後で詳しく解説します)



相続税評価額を小さくするには







相続税評価額の金額を小さくするには、ごく簡単に言って2つの方法が考えられます。




相続税評価額を小さくする2つの方法

  • ①財産そのものを費消すること
  • ②財産を相続税評価額の計算上有利なもの(不動産など)に換えておくこと





  • 1つ目は財産そのものを使ってしまうことです。



    財産を生きているうちに使えば残す分が少なくなるのはごく当たり前のことですので、相続税対策というより単なる消費といえるかもしれませんね。



    2つ目は、相続税評価額を計算するときに有利な種類の財産に換えておくことです。



    財産の持ち方は現金で持っておく、株式で持っておく、あるいは不動産で持っておくなどいろんな方法があります。



    このうち、相続税対策を考えるときに効果が大きいのが賃貸アパートなどの投資用不動産として持っておく方法なのです(私が最近相談を受ける例でも増加しているのがこちらです)



    財産を賃貸アパートに換える場合、土地と建物を取得することになります(建物だけの場合もあります)



    賃貸アパートを建てるときの土地と建物の相続税評価額の計算方法について、次の項目で説明させていただきます。



    貸家建付地の相続税評価額




    他人に貸すためのアパートを建てている土地のことを「貸家建付地」と呼びます。



    この貸家建付地は、相続税の計算上有利な扱いをしてもらうことができます(相続税の課税標準額を大幅に小さくしてもらえます)



    具体的には、次のような計算式で貸家建付地の相続税評価額を計算します。



    自用地にした場合の評価額-(自用地にした場合の評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)



    例えば、4000万円の土地を貸家建付地にした場合、以下のように相続税評価額を系挿します(借地権割合70%、借家権割合30%、10室のうち8室に入居者がいるとします)



    4000万円×70%×30%×80%=672万円



    なお、借地権割合は路線価図を見ると確認できます。



    借家権割合は2018年現在で全国一律30%です。



    アパートの場合に適用される建物の評価減




    賃貸用のアパートを建てた場合には、土地だけではなく建物についても相続税計算では有利な扱いをしてもらうことができます。



    具体的には、建物の相続税評価額は固定資産税評価額(購入価格の6割ぐらいになります)にさらに借家権割合30%を差し引きした金額にしてもらうことができるのです。



    例えば、時価6000万円のアパートを建てたとすると、この建物の相続税評価額は以下のようになります(固定資産評価額の割合はそのときどきで変わります)



    6000万円×固定資産評価額60%×(100%-借家権割合30%)=2520万円



    相続税評価額計算の具体例




    例えば、法定相続人が子供2人(長男と次男)、2億円を現金で所有していた人の相続税負担を考えてみましょう。




    私が相談を受けた方の中にも、「現金の方が分割が簡単だから」といった理由で相続まで現金の形で財産を保有している方が多いのですが、相続税の負担からみると得策とは言えません。



    例えば、2億円の現金を、そのまま現金として持ったままで相続が発生したとすると、相続税は以下のようになります。




    現金2億円を子供2人に相続させた場合の相続税

  • 2億円-基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数2人)=1億5800万円
  • 長男の法定相続分:1億5800万円×2分の1=7900万円
  • 次男の法定相続分:1億5800万円×2分の1=7900万円
  • 長男の相続税額:7900万円×税率30%-控除額700万円=1670万円
  • 長男の相続税額:7900万円×税率30%-控除額700万円=1670万円

  • トータルでの相続税負担額=1670万円+1670万円=3340万円





    2億円を賃貸アパートで保有していた場合




    一方で、この2億円を賃貸アパート(土地8000万円、建物1億2000万円)にした場合の相続税負担額は以下のようになります。




    ※上で見た例と同様に、借地権割合は70%、借家権割合30%、10室のうち8室に入居者がいるとします。





    賃貸アパート2億円(土地8000万円、建物1億2000万円)を子供2人に相続させた場合の相続税

  • 土地の相続税評価額=8000万円×70%×30%×80%=1344万円
  • 建物の相続税評価額=1億2000万円×固定資産評価額60%×(100%-借家権割合30%)=5040万円

  • 相続税評価額の合計=1344万円+5040万円=6384万円

  • 6384億円-基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数2人)=2184万円
  • 長男の法定相続分:2184万円×2分の1=1092万円
  • 次男の法定相続分:2184万円×2分の1=1092万円
  • 長男の相続税額:1092万円×税率15%-控除額50万円=113万8000円
  • 次男の相続税額:1092万円×税率15%-控除額50万円=113万8000円

  • トータルでの相続税負担額=113万8000円+113万8000円=227万6000円




    現金で2億円を所有していた場合と比べると、3000万円以上の節税になります。



    ただし、賃貸経営は投資である以上、購入するアパートそのものに収益性が見込めることが大前提となります。



    次の項目では、賃貸アパートを経営する上でのメリットやデメリット、リスクについて確認しておきましょう。




    アパート経営のメリットとデメリット




    ここまで説明させていただいたように、財産を賃貸アパート(投資用不動産)の形に換えておくことは相続税対策として有効です。



    ただし、賃貸アパートはあくまでも収益性が見込めなくては意味ありません。



    どれだけ相続税が安くなったとしても、アパート経営そのものが赤字ではトータルで見て結局出ていったお金の方が多かった…なんてことにもなりかねないのです。



    私が相続税対策としてアパート経営を提案させていただく際にも、まずそのアパート経営そのものに収益性が見込めるかどうかを見極めるようにアドバイスさせていただくことが多いです。




    収益性が見込めることが大前提




    アパート経営で収益性を見込めるとは、ごく簡単に言うと年間で受け取る家賃収入の金額が、必要経費の金額を上回ることをいいます。



    家賃収入についてはアパートを建てる地域の家賃相場を見ながら決定することになりますから、入居者を仲介してくれる不動産仲介業者などと相談しながら決めるようにしましょう。



    場合によっては高い家賃で入居者を見つけてくれた場合には報奨金を支払うなどの方法も有効です(もちろん、この場合の報奨金も必要経費ですから、損益の状況を見ながら判断するのが大切です)



    アパート経営の必要経費とは、不動産業者や管理会社に支払う手数料の他、ローンを組んだ場合の支払利息、不動産登記の費用、固定資産税の支払いなどが含まれます。



    年間でどの程度のキャッシュが出ていくのかを正確に試算しつつ、利益を出すために必要な家賃の金額を設定するのが大切です。




    アパート経営のリスク




    アパート経営は相続税対策として有効な方法ですが、資産をアパートの形で持つことにはリスクがあることも知っておきましょう。



    アパートを所有することのリスクとしては、空室リスク、価格変動リスク、流動性リスクの3つが指摘されることが多いです。




    アパート経営の3つのリスク

  • ①空室リスク
  • ②価格変動リスク
  • ③流動性リスク




  • 以下、順番に説明させていただきます。



    ①空室リスク




    空室リスクはアパート入居者が確保できなくなるリスクです。



    アパート経営は入居者が支払ってくれる家賃が収入となりますから、入居者がいないとそもそも利益を出すことが不可能になってしまいます。



    入居者を確実に確保するために、アパートを建てる立地やその場所の家賃相場などについては詳細に調査する必要があります。



    これらの情報については自力で調査することも大切ですが、不動産業者の協力を上手に取り付けることが大切です。



    不動産業者から上手に情報を聞き出すためのポイントは、特定の地域についてくわしくなることです。



    広い地域の情報収集についてはプロである不動産業者と対等に話をすることは不可能ですが、ターゲットを特定の地域に限定すれば不動産業者と対等に情報交換することが可能になります。




    ②価格変動リスク




    価格変動リスクは、購入したアパート(土地と建物)の値段が上下するリスクです。



    不動産の値段は不動産相場によって決まりますから、購入時よりも値段が大幅に下がってしまうことも考えられます。



    もちろん、家賃収入がきちんと確保されていて、アパート経営そのものが順調なのであれば物件を手放す理由がないので価格変動リスクについてはあまり考慮する必要はありませんが、物件そのものの値段が将来的にどうなるかについてはある程度の見通しを立てておくのが大切です。



    家賃収入をしっかりと確保できる物件は必然的に物件価格も高くキープできますから、アパート経営で利益をきちんと出していくことが物件の価格下落を抑えることにもつながります。





    ③流動性リスク




    3つ目は流動性リスクで、これは簡単に言うと現金に換えにくくなることをいいます。



    不動産は「不動の資産」と書くように、売却して現金に換えるまでに時間がかかる資産です。



    買い手がつかない限りは現金化することができませんから、売りたいのに売れないという状況になると、どんどん物件の価格を下げざるを得なくなります。



    このため、計画外に不動産を売却する必要がある状況(つまり緊急に現金が必要になる状況)はできる限り避けなくてはなりません。



    相続税納付はまさしく多額の現金が必要になるタイミングですから、相続税の節税のためにアパート経営を選択する場合には、将来的に発生する相続税のおおよその金額まで把握しておく必要があります。




    まとめ




    以上、アパート経営が相続税の節税につながる仕組みについて解説させていただきました。



    相続税は遺産の相続税評価額が大きくなるほど負担が大きくなりますから、合法的に評価を下げてもらえるアパート経営は節税効果が大きい方法といえます。



    ただし、本文でも説明させていただいたように、アパート経営そのものの収益が見込める場合でないと、かえって出ていくお金が大きくなってしまう可能性もあります。



    アパート経営にはリスクもありますから、収益化の方法についてしっかり勉強したうえで挑戦することをおすすめします。


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