個人再生での利息の免除範囲はどこまで?元本も減額してもらえる?




借金には必ず利息が付きますが、ひとことで「利息」といってもいろんな種類があります。



延滞をしてしまっているときには「延滞利息」がつくほか、請求書には「~手数料」や「損害金」といった表記になっている場合もあります。



今回は、これらの利息について、個人再生の手続きをした場合に免除される範囲について解説させていただきます。





個人再生で利息はどこまで免除される?







個人再生では、手続きを開始した時点での「借金の元本に利息を含めた金額」をまず計算します(この金額を「再生債権」と呼びます)



そのうえで、その金額を最大5分の1にまで圧縮する(つまり5分の4を減額してもらう)形で借金の負担を減らしてもらうことができます。



問題は「再生債権に含まれる利息」がどこまでの範囲なのか?ですね。



結論から言うと「手続き開始前の時点で発生している利息や遅延損害金、手数料その他のすべての債務」が含まれることになります。



以下でもう少しくわしく見ていきましょう。




遅延損害金の扱いはどうなる?




遅延損害金は、個人再生手続き開始前の時点で発生しているものを再生債権に含めてもらうことが可能です。



さらに、個人再生手続きが開始した後については遅延損害金は発生しない扱いにしてもらうことができます。



(再生債権は3年間で分割返済していきますが、いわば「無利息の借金」扱いにしてもらえます)



遅延損害金と「損害賠償債務」は異なる




遅延損害金とは、法律上は一種の「損害賠償」ですので、免除してもらえないものと思いがちです。



私が過去に相談を受けた方の中にもよく勉強されている方がいて、「債務整理で減額してもらえる債務には、損害賠償に関するものは含まれないのではないですか?」と質問されることが多かったです。



しかし、債務整理によって免除してもらうことができない「損害賠償債務」とは、例えば交通事故で相手に与えた損害などの不法行為に基づく損害賠償債務などに限定されるのです。



借金の返済が遅れたことによって発生した遅延損害金についてはこれには含まれません。



結論的に、遅延損害金は個人再生によって免除してもらうことが可能です(再生債権に含めてもらうことが可能です)



※法律でいうと民事再生法84条2項という条文で、再生債権の対象となる債務の範囲が決まっています。



過払い金(違法な利息分)がある場合は?




上でも解説させていただいたように、個人再生でいくら借金が減額されるか?を計算する際には、まず「再生債権」の金額を計算することになります。



この再生債権の計算の時点で、過払い金となる「違法な利息分」については再生債権から減額されることになります。



例えば、債権者が請求してきている借金の総額が500万円、利息が100万円の合計600万円だったとしましょう。



この利息100万円の中には、通常の利息や遅延損害金の他に、過払い金50万円が含まれていたとします。



過払い金は「あなた自身のお金




過払い金はそもそも「払う必要はなかったのに、間違えて払ってしまったあなた自身のお金」ですから、そのまま減額してもらうことが可能です。



上の例の場合では、再生債権の計算では600万円から50万円を差し引きし、550万円が再生債権ということになります。



個人再生では再生債権を5分の1にまで圧縮(つまり5分の4を減額)してもらうことができますから、最終的には550万円÷5=110万円を分割返済していけば良いことになります。



個人再生で元本はどのように減額される?







すでに何度か触れていますが、個人再生では「再生債権を最大5分の1まで圧縮してもらう」形で借金の減額をしてもらうことができます。



再生債権とは「個人再生手続きの開始時点での元本+利息や遅延損害金(不法行為等によるものを除く)」によって計算します。



ただし、減額してもらうことができる範囲は、以下のように再生債権の金額によって異なりますので注意が必要です。


 

  • 再生債権の金額が100万円未満:減額はありません
  • 再生債権の金額が100万円以上~500万円以下:100万円まで減額
  • 再生債権の金額が500万円超~1500万円以下:借金を5分の1に圧縮(5分の4を減額)

  • なお、再生債権の金額が3000万円超~5000万円以下の場合には10分の1まで圧縮してもらうことができますが、この借金には住宅ローンなどを含みませんので、通常は該当しないと思われます。

     



    清算価値について知っておこう




    個人再生では、上で説明させていただいた再生債権とは別に、「清算価値」の考え方について理解しておく必要があります。



    清算価値とは、「自己破産をした場合に、どのぐらいの財産を債権者に分配することになるか?」の金額のことです。



    自己破産を選択した場合は、借金のすべてについて免除してもらえる一方で、手続き開始時点であなたが所有している財産はすべて換金して債権者に分配する必要があります。



    この「換金する財産」の合計額のことを、清算価値といいます。



    清算価値保障原則とは




    個人再生では「減額後の借金の金額が、この清算価値よりも大きい金額でなくてはならない」という大原則があります(清算価値保障原則といいます)



    例えば、個人再生を開始する時点での借金の総額が500万円である場合、借金は5分の1にしてもらって100万円だけを返済することになります(これを【条件①】とします)



    一方で、あなたが手続き開始の時点で120万円の価値がある自動車を所有していたとします(これを【条件②】としましょう)



    この場合、【条件①】によれば債権者は最終的に100万円しかお金を受け取ることができませんが、【条件②】によれば自動車を換金して120万円を受け取ることができるのです。



    上の例では、個人再生の場合には【条件②】に基づいて最終的に返済する金額が決定されることになります。



    借金がたくさんあるけれど、換金できる財産もいくらかある方の場合には、個人再生と自己破産のどちらを選択すべきか?は慎重に判断する必要があります。



    個人再生と自己破産のどちらを選ぶかの判断基準




    債務整理には大きく分けて任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、借金の元本まで減額してもらうことができるのは個人再生と自己破産のどちらかになります。



    個人再生を選ぶべきか、自己破産を選ぶべきかについては慎重な判断が必要です。



    実際にこれらの手続きを行う場合には、弁護士や司法書士といった専門家に相談するのが適切です。





    具体的な判断の仕方




    結論から言うと、「現在の収入から考えて、上の基準に従って減額してもらった借金を3年間の分割で完済することができるか?」を基準に判断するとよいです。



    例えば、再生債権が500万円である場合、100万円を3年間かけて分割返済していけばよいことになります。



    3年間は36か月間ですから、100万円÷36か月=2万7000円ほどを毎月返済していくことができる収入があれば、自己破産よりも個人再生を選ぶのが良いでしょう。



    減額してもらった借金を確実に返済していけるか




    現在失業している方や、借金の金額が大きくなりすぎている人などで、借金を減額してもらったとしても返済ができそうにない…という場合には、個人再生よりも自己破産を選択するのがメリットが大きいでしょう。



    私が相談を受けたケースでも、現在の収入から生活費を差し引きし、「毎月この金額なら借金の返済に確実にあてられる」という金額を計算したうえで、個人再生と自己破産のどちらを選ぶかを判断するケースがほとんどでした。



    ただし、以下で説明させていただくように、マイホームを手放すか持ち続けるかも判断材料となるのには注意してください。



    以下ではそれぞれの方法のメリットとデメリットについて基本的な知識を理解しておきましょう。



    個人再生のメリットとデメリット




    個人再生では、再生債権の金額に応じて借金を最大5分の1にまで減額してもらうことができます。



    利息の免除しかしてもらうことができない任意整理に比べるとこれは大きなメリットです。



    一方で、自己破産と比べた場合には、自己破産が原則として借金すべてを免除してもらう(0円にしてもらう)ことができるのに対して、個人再生は減額してもらえるとはいえ返済の義務は残ることになります。



    個人再生の最大のメリット=マイホームに住み続けられること




    個人再生の最大のメリットは、マイホームを住み続けられることです(自己破産の場合は必ずマイホームを手放さなくてはなりません)



    具体的には、住宅ローンを借りてマイホームを所有している場合に、その住宅ローンを返済し続けることを条件にマイホームを手放さなくても良い扱いにしてもらうことができるのです。



    これを個人再生の「住宅ローン特別条項」といいますが、住宅ローン特別条項を使った個人再生の手続きは非常に複雑になりますので、必ず弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。



    私が相談を受けた例でも、マイホームを所有している方の多くは自己破産よりも個人再生を選択しました。



    自己破産のメリットとデメリット




    自己破産の最大のメリットは、何といっても借金のすべてを免除してもらうことができる点です(ただし、未納の税金や社会保険料などはのぞきます)



    一方で、自己破産によって借金を免除してもらうためには、手続き開始の時点であなたが所有している財産はすべて換金し、債権者に分配する必要があります。



    マイホームはもちろん、自動車や生命保険の解約返戻金なども分配する必要があります。



    ただし、以下のような財産は自己破産をしても手放す必要はありません。



    また、マイホームから立ち退く必要があるとしても、次の住居が決まるまで一定期間は猶予してもらうことができますから、自己破産をしたとしても無一文になってホームレスになる…といったことは通常ありません。



    自己破産をしても手放さなくても良い財産




    以下のような財産は自己破産をした後も持ち続けることができます。


     
    自己破産をしても持ち続けられる財産

  • 99万円以内の現金
  • 衣服や家具、家電製品など生活していくために必要なもの
  • 退職金
  • 給与のうち4分の3に相当する金額(40万円が給料なら、30万円はあなたのものです)

  • なお、換金しても現金と合計して99万円を超えない財産については、手放さずに持ち続けてもOKとしている裁判所もあります(自己破産はどの裁判所に申し立てをするか?によって微妙に扱いが異なります)

     




    まとめ




    今回は、個人再生をしたときの利息や遅延損害金の扱いについて解説させていただきました。



    本文でも説明させていただいた通り、個人再生手続き開始の時点で返済義務のある借金元本や利息、遅延損害金はすべて合算し、その金額を最大5分の1にする形で減額してもらうことが可能です。



    これから個人再生を行うことを検討している方は、具体的に借金がいくらぐらいまで減るのかを専門家(弁護士や司法書士)に相談してみることをおすすめします。



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