個人再生でマイホームや住宅ローンはどうなる?自己破産と比較!




個人再生では「手続き後にもマイホームに住み続ける」という選択をすることが可能です。



自己破産では必ずマイホームを手放すことになりますから、この点は個人再生の大きな長所ということができます。



今回は、個人再生を行った場合にマイホームや住宅ローンがどのような扱いになるのかについて具体的に解説させていただきます。





個人再生でマイホームはどうなる?





個人再生を選択するメリットとして「借金を減額してもらった後も、住宅ローンについては支払いを継続することでマイホームに住み続けることができる」ことがあります。



具体的には個人再生には「住宅資金特別条項」というルールがあり、これを裁判所に適用してもらうことでマイホームを所有し続けることが可能になります。





住宅資金特別条項とは




住宅資金特別条項とは、ごく簡単に言うと「住宅ローン以外の借金だけ減額してもらう」形で個人再生手続きを行うことができるルールです(民事再生法196条)



本来であれば、個人再生では「すべての借金について減額手続きをしないといけない」という債権者平等の原則が適用されるはずです。



もし債権者平等の原則に従ったとすると、住宅ローンについても減額手続きをしなくてはならなくなります。



当然、住宅ローンの貸し手(銀行などの金融機関)は住宅ローンに設定されている抵当権を実行してきますから、結果としてマイホームを競売にかけられることになります。



このような事態を避けるために、住宅資金特別条項という特別ルールが設けられているわけです。



住宅資金特別条項を使った場合の借金減額の具体例




例えば、住宅ローン3000万円、その他の借金500万円で合計3500万円あるという場合を考えます。



この場合、住宅資金特別条項を使った個人再生手続きを行うと、住宅ローン3000万円についてはそのままで、500万円の借金だけ5分の1に圧縮してもらって合計3100万円だけ返済すればOKとしてもらえるわけです。



住宅ローンの支払い条件の変更(リスケ)は可能?




住宅資金特別条項を使った場合、住宅ローンについては従来通りに返済を行うのが原則です。



しかし、家計の状況が苦しい場合や、個人再生計画に基づいた返済を行っていくその他の借金の負担からみて従来通りの住宅ローン返済が難しいことも考えられます。



このような場合には住宅ローンの返済を最大10年間までであれば延長してもらうことが可能です(いわゆるリスケジュール=リスケです)



返済期間を伸ばしてもらえれば、毎月の返済額を減額してもらうことが可能になります。



また、個人再生の対象としたその他の借金(住宅ローン以外の借金)の返済期間中に限り、住宅ローンについては元本返済を猶予してもらう(利息支払いのみ行う)扱いにしてもらえることもあります。



住宅資金特別条項を使った個人再生は自分でできる?




このように、「借金の減額はしてほしいけど、マイホームには住み続けたい」というニーズがある人にとって、住宅資金特別条項を使った個人再生は非常にメリットの大きい方法です。



ただし、この方法のデメリットとして、手続きにともなう事務が非常に複雑であることがあります。



通常の個人再生に関しては個人再生委員の支援を受けながら自力で手続きを行うことも決して不可能ではありません。



しかし、住宅資金特別条項を使う場合には法律的な実務の経験がないと、実際に手続きを行うのは非常に難しいというのが実情です。



途中から専門家に手続きを任せる…は難しい場合が多い




実際、私が関わった相談者の個人再生手続きでも、最初は自力で個人歳手続きを始めたものの、途中であまりにも事務が複雑になり継続できなくなったケースがありました。



専門家といえども、誰かが途中まで進めた手続きを引き継ぐのは非常に難しいことが多いので注意が必要です。



住宅資金特別条項を使った個人再生を行う場合には、最初から専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。



マイホームについての個人再生と自己破産の比較






裁判所を通して手続きを行う債務整理の方法としては、個人再生の他に自己破産もあります。



以下では個人再生と自己破産とでどのような違いがあるかについて解説させていただきます。



なお、結論から言うとマイホームを残すニーズがある方の場合には、自己破産ではなく個人再生を選ぶのが良いです。



借金の減額幅とマイホームの扱いについての比較




個人再生では、原則として借金は5分の1まで圧縮(つまり5分の4を免除してもらえます)してもらえるのが原則です。



なお、住宅資金特別条項を使い、マイホームを手元に残したい場合には住宅ローンについては減額はありません(返済期間の延長は認めてもらえる可能性があります)



一方、自己破産の場合には借金のすべてを免除してもらうことが可能です。



この点では個人再生よりも自己破産の方がメリットが大きいといえるでしょう。



ただし、自己破産の場合には免責を受けた時点で所有している財産(生活していくうえで最低限必要な現金や家具等は除きます)はすべて換金して債権者に分配する必要があります。



マイホームについても、自己破産を選択した場合には住宅ローンの貸し手である金融機関が抵当権を実行することになりますから、所有権を失うことになります。



ブラックリスト登録期間についての比較




個人再生や自己破産といった債務整理の手続きを行った場合、一定期間は信用情報機関(金融機関の情報ネットワーク)にブラックリスト登録されることになります。



登録期間中は新しくローンを組んだり、クレジットカードを発行したりすることがいっさいできなくなります。



実際、私が相談を受けたケースでは携帯電話の分割払いもできなくなったことがありましたから、日常生活で分割払いやローンを使うことに慣れている方は注意が必要です。



この点については個人再生、自己破産ともに裁判所での手続きが完了した時点から10年となりますので、大きな差はないといえるでしょう。



なお、信用情報機関にはJICCやKSCといったように複数の機関があり、ブラックリストへの登録期間がそれぞれ異なります。



マイホーム以外の財産を持ち続けられるケース




個人再生では上の住宅資金特別条項を使ってマイホームを持ち続けられるということを説明させていただきましたが、マイホーム以外の所有権を失わずに済むケースがあります。



それは事業主の方などで、自動車などの財産がないと事業そのものの継続が難しくなってしまうような場合です(タクシー業や運送業など)




この場合、自動車を失うと事業そのものの継続が難しくなってしまいますから、債権者側も自動車を使用し続けることを許可してくれる可能性があります(なお、この場合債権者との合意が必要です:別除権協定といいます)



この点、自己破産ではこういった特別扱いは認めてもらうことはできません。



自動車にローンが残っている場合には信販会社などが車を引き揚げていってしまうことになります。



自己破産の場合の手続きの流れ




自己破産では、まず裁判所に対して手続き開始の申し立てを行い、そこから裁判所による審理を経て、最終的に免責の決定を出してもらうことになります(免責の決定が出た段階で借金の全額が免除されます)



ただし、免責の決定が出るまでには債権者からの申し立てに基づいてマイホームの競売手続きがなども同時進行で行われることになります。




免責の決定が出る前後にはマイホームから立ち退きをして新たに住居を探す必要が生じることは理解しておいてください。



任意整理ではどうなる?




任意整理の場合、「どの借金について負担減額をしてもらうか」を自由に選ぶことができます。



任意整理は個人再生や自己破産とは違って「裁判所を通さない手続き」になりますので、どの債権者と交渉を行うかは基本的に自由なのです(そのため「任意」整理と呼ばれます)



そのため、最初からマイホームを残す意図で任意整理を行うのであれば、住宅ローン以外の借金についてのみ任意整理の交渉を行うのが良いでしょう。




例えば、住宅ローンについてはこれまで通り支払うけれど、消費者金融からの無担保ローンについては任意整理を行うといった形ですね。



ただし、任意整理の場合には借金の元本の減額は通常認められないというデメリットがあります(利息の免除しか認められません



私がかかわったケースでは元本の返済が難しい状態になっているときには、利息免除のみの任意整理よりも元本減額も認められる個人再生を選択するほうがメリットが大きいケースが多かったです。



できるだけ財産を残して債務整理をするには?




このように、少しでも多くの財産を残して債務整理を行うのであれば、任意整理や個人再生といった方法を選択するのが良いでしょう。



その場合、利息の免除さえ認めてもらえば完済できる状況であれば任意整理を、元本の減額も必要な状態であれば個人再生を選択するのがメリットがより大きくなることが多いです。



自己破産は借金のすべてを免除してもらえるのが魅力ですが、最低限生活していくために必要な財産(現金100万円以内など)を除いて、マイホームを含むすべての財産を手放す必要があります。



実際にどの債務整理を選ぶか?については、弁護士や司法書士といった法律の専門家と具体的な相談をしながら決めていくのが適切です。



まとめ




今回は、個人再生を行った場合にマイホームや住宅ローンにどのような影響があるのかについて説明させていただきました。



マイホームを手放すことなく借金の減額をしてもらえる個人再生は、主にサラリーマン家庭の世帯主を利用者として想定した債務整理方法です。




本文で説明させていただいた住宅資金特別条項を使った個人再生は、メリットが大きい分手続き方法が非常に複雑になっているという側面があります。



法律的な事務の経験がない方が住宅資金特別条項を使って個人再生手続きを行うのは非常に難しいのが実情ですから、利用を検討している方は法律家に相談してアドバイスを受けるようにしてくださいね。



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