個人再生で繰り上げ返済は可能?計画開始後の注意点




個人再生の手続きが完了すると、裁判所に提出した再生計画に従って毎月返済をしていくことになります。



この再生計画中に、まとまったお金を早めに支払う「繰り上げ返済」を行うことは可能でしょうか。




今回は、個人再生手続き後に繰り上げ返済を行う場合に知っておくべき注意点について解説させていただきます。



個人再生の繰り上げ返済は常に認められるわけではない




繰り上げ返済は、債権者の側から見たら予定よりも早くお金が返ってくることを意味しますから、一見何の問題もないように思えます。



しかし、個人再生では「債権者平等の原則」という大原則がありますから、どの債権者にどれだけ繰り上げ返済を行うか?については一定のルールがあるのです。



まずは個人再生後に繰り上げ返済を行う際の原則的なルールについて知っておきましょう。



債権者平等の原則に従った繰り上げ返済が必要




個人再生手続きが完了した後には、債権者平等の原則に反する形での繰り上げ返済を行うことは通常認めてもらえません(債権者が同意しません)



例えば、個人再生の結果としてAへの債務が100万円、Bへの債務が50万円となった場合に、臨時収入があったからと言ってAへの債務を優先的に払う…としてしまうと、Bとしては不公平な扱いをされたことになります。



上の例で、例えば臨時収入があったので30万円を繰り上げ返済するとしましょう。



この場合、繰り上げ返済の30万円は債権者の債権額の割合に応じて分配する必要があります。



「Aの債権額:Bの債権額=100万円:50万円=1:2」ですから、繰り上げ返済する30万円のうち3分の2である20万円はAに、3分の1である10万円をBに支払う必要があるわけですね。



一括返済を行う場合







上のように、繰り上げ返済の金額が債権総額に満たない場合には、債権者が持つ債権の割合に応じて分配を行うことになります。



一方で、債権総額をまとめて返済する場合(一括返済する場合)には債権者側としても平等に分配を受けられることになります。



しかし、その場合には別の問題があります。



それは、債権者が「借金の返済が難しいと言うから個人再生に応じたのに、再生計画が始まったとたんに一括返済してくるのは財産隠しがあったのではないか?」と判断されてしまう可能性があることです。



以下でくわしく解説させていただきます。



再生計画開始後すぐに一括返済…は財産隠しを疑われる可能性も




個人再生手続きを裁判所に認めてもらうためには、手続き開始時点においてあなたが所有している財産についてはすべて申告しなくてはなりません。



もしこの時に隠していた財産があったと判断されてしまうと、最悪の場合にはすでに行われた個人再生手続きが取り消されてしまう可能性があるのです。



私がかかわった個人再生では裁判所による再生手続きの取り消しまで進んでしまったことはありませんが、債権者側からの意義が問題になることはまれにあります。



個人再生を認めてもらった相手が銀行や消費者金融などの金融機関である場合にはそれほど大きな問題となる可能性は低いですが、債権者が一般個人(知人や友人など)は感情的な面でもトラブルになってしまう事も考えられます。



実際、私が相談を受けた個人再生のケースでは、一括返済を行おうとしたところ債権者である親族の方から異議が出たことがありました。



個人再生が完了した時点で、債権者には「借金の一部を免除する」形で一定のがまんをしてもらっていることに配慮が必要です。



再生計画開始後の一括返済については専門家と相談しながら慎重に行うようにしてくださいね。



個人再生で繰り上げ返済をするメリットとデメリット







個人再生手続き後に繰り上げ返済を行うことで、具体的にどのようなメリットやデメリットが生じるのかを知っておきましょう。



まずメリットとしては個人再生計画が予定より早く終了できることが挙げられます。



個人再生計画中、1度でも返済が滞ってしまうと最悪の場合は個人再生による借金減額を取り消されてしまう可能性がありますから、この心理的な負担は小さくありません。



私がかかわった個人再生の相談では、繰り上げ返済を行うことによって過去の借金との関わりを断つことができ、心理的な負担から解放されたとおっしゃる方がとても多いです。



また、細かい点でいえば振込手数料などは返済を行うたびに発生しますから、繰り上げ返済によって振込回数が減ればその負担もしなくて済むようになります。



繰り上げ返済によるデメリット




一方で、繰り上げ返済を行うデメリットとしては「繰り上げ返済によって完済を早めたとしても、経済的なメリットは何もない」ことがあげられます。



簡単に言うと、個人再生によって減額された後の借金には利息が付きませんから、早く返済を終わらせても得をすることはないということですね。



大きな金額の返済を行うとそのときには生活をかなり切り詰める必要があるかもしれませんから、資金繰りが一時的に厳しくなることもあるでしょう。



通常の借金であれば利息が付いていますから、繰り上げ返済によって早期に返済すればするほど利息負担は小さくなりますが、利息負担がそもそもない個人再生後の借金では早く返してもトータルで負担する金額が減るわけではありません。



ブラックリスト登録期間は短くなる?




私が相談を受けた方の中にも誤解されている方がいらっしゃったのですが、個人再生後の繰り上げ返済で早期に借金を完済したとしても、ブラックリストへの登録期間が短くなるわけではありません。



個人再生の場合、ブラックリスト登録がスタートするのは裁判所から再生計画の認可決定がでた時です。



その後に繰り上げ返済で早期完済をしたとしても、その事実はブラックリスト登録期間に影響はありません(減額後の借金をすでに完済しているかどうかについては登録情報に変化がありますが、過去に事故情報を出したという履歴は変わりません)



個人再生後に繰り上げ返済をしてもブラックリスト登録期間には基本的に影響がないことを理解しておきましょう。



この点、任意再生とは少し扱いが異なります。



任意再生では負担を軽減してもらった借金(任意整理の場合は利息の免除だけが認められます)を完済した時点からブラックリスト登録期間がスタートします。



そのため、任意再生では繰り上げ返済によって完済のタイミングを速めておくことにはメリットがあるといえます。





どのようなタイミングで繰り上げ返済をおこなうべきか?




ここまで個人再生後の繰り上げ返済のメリットとデメリットについて説明させていただきました。



結論的にいうと「経済的な面でのメリットは特にないけれど、精神的な面ではメリットがある」といえると思います。



その点を理解された上で、実査に繰り上げ返済を行うのであれば、そのタイミングをいつにするのがベストか?についても考えておきましょう。



臨時収入の一部を繰り上げ返済にまわす




結論から言うと、繰り上げ返済をするならボーナスその他の臨時収入があった時にするのが良いでしょう。



繰り上げ返済を行うためには、当然ながら通常よりも手元にお金がたくさんある状態になっていなくてはなりません。



臨時収入があったときにはお金を趣味などに使ってしまいがちですが、しっかりとお金を管理する習慣をつける意味でもその一部(全部とはいいません)は繰り上げ返済に回すのがいいと思います。



上でも説明させていただいた通り、返済計画が認可された直後に繰り上げ返済を行うと債権者から財産隠しを疑われるケースがあるのですが、「臨時収入があったのでその一部を繰り上げ返済に回した」と説明ができれば債権者から変な疑いの目を向けられることもありません。



貯金を全部繰り上げ返済に回すのは避ける




一方で、普通に生活していて、貯金がたまったので繰り上げ返済に回すというケースもあるでしょうが、基本的にはこれは避けたほうが良いでしょう。



せっかく貯蓄できた分は貯蓄としてポジティブなことに使う方が心理的にも良く、返済計画を恵贈していくモチベーションにもなります(頑張っても働いて貯金してもその分は借金返済に消えていく…というのはなかなかつらいものです)



個人再生の手続きが完了した後に始まる返済計画は、何よりも持続性をもって継続していくことが大切です(返済が滞ると個人再生の認可そのものを取り消されてしまう危険があります)



まとめ




今回は、個人再生手続きが完了した後に、再生計画で定められている返済額よりも多くの金額を支払う場合(繰り上げ返済)の問題点について解説させていただきました。



本文でも解説させていただいたように、繰り上げ返済を行うためには債権者側の同意が必要になります。



個人再生計画が開始してからあまりに早いタイミングで繰り上げ返済を行うことは、債権者側から財産隠しを疑われることも考えられます。



相手が金融機関である場合には大きな問題となるケースは少ないですが、知人や親族が債権者となっているケースでは異議を申し立てられる可能性もあります。



個人再生計画開始後の繰り上げ返済については、専門家からアドバイスを受けながら行うのが安全といえるでしょう。


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