自己破産の取り消しは可能?別の債務整理への移行手続きを解説




債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3つの方法がありますが、この中で自己破産は良くも悪くも1番影響力が大きい方法です。



どの方法を選ぶべきか?についてはあなたが置かれている状況に応じて判断する必要がありますが、場合によってはいったん選んだ方法を途中で取り消したいと思うこともあるでしょう。



今回は「いったん自己破産を選んだ後の取り消し」について解説させていただきます。



自己破産の取り消しは可能?







結論から言うと、いったん開始した自己破産手続きは、裁判所によって「破産手続き開始の決定」が出される前のタイミングであれば取り消すことができます。



逆に言うと、すでに裁判所から破産手続き開始の決定が出されている場合には、いかなる理由があってもあなたの側からは自己破産の申し立てを取り下げることはできなくなってしまいます。



私が過去に相談を受けた事例で多かったのが、いったん始めた自己破産手続きを別の債務整理に切り替えたいといったケースです。



具体的にどの時点までであれば取り消し可能なのかを深く理解するために、自己破産手続きの大まかな流れについて理解しておきましょう。



自己破産手続きの流れ




自己破産手続きの流れをおおまかに説明すると、以下のようになります。




  • ①専門家への相談
  • ②借金の正確な金額と債権者の確定
  • ③申し立て書類の準備
  • ④裁判所への自己破産手続き開始の申し立て
  • ⑤裁判所による破産手続き開始決定
  • ⑥裁判所内での手続き(裁判所面接など)
  • ⑦免責許可決定




  • 上の手続きの流れで、自己破産申し立ての取り消しができるのは⑤の裁判所による破産手続き開始決定が出されるまでのタイミングになります。



    なので、自己破産以外の債務整理方法に移行したい場合には、裁判所による自己破産手続き開始の決定が出るまでに申し立ての取り下げを行う必要があります。



    申し立ての取り下げが行われた場合には、自己破産手続きは最初にさかのぼって無かったものとしてあつかわれますから、そこから別の債務整理の手続きを行うことも問題ありません(個人再生手続きの開始決定など)



    一方で、それ以降(裁判所による自破産手続き開始決定の後)になると自己破産開始の申し立ては取り下げることができなくなりますので注意しましょう。



    取り消した場合、専門家の費用はどうなる?




    自己破産の手続きを専門家に依頼せずに自力で行うことも可能ですが、現在は専門家を通した手続きがほとんどになっています。



    専門家に依頼して自己破産手続きを行う場合、専門家に対して支払う報酬が発生します。



    専門家に支払う報酬は、着手金と成功報酬の2種類に分けられている場合が多いですね。



    私が過去にかかわった例では、相談については無料で、実際に手続きを開始して借金の調査を開始するタイミング(上の流れでいうと②の時点)で着手金を支払う事が多かったです。



    ですから、もし自己破産手続きを途中で取り消した場合には、着手金だけは負担する必要が生じるでしょう。



    なお、取り下げを行わずに自己破産手続きを進めてもらった場合には、最終的に裁判所の面積許可決定が出た後で成功報酬を追加で支払う必要があります。



    ほとんどの事務所でこの成功報酬については分割払いを認めてもらえますので、状況に応じて利用するようにしてください。



    ブラックリスト登録はどうなる?




    自己破産による免責を受けた場合、免責を受けた時点から10年間は金融機関のブラックリストに登録されることになります。



    ブラックリストへの登録は、あくまでも裁判所による免責決定が出た後です。



    そのため、もし自己破産開始の決定が出る前に、手続きの取り下げを行った場合には、このブラックリストへの登録は行われないことになります。



    ただし、自己破産を選択する人の多くがすでに借金の返済遅延となっていることが考えられます。



    返済遅延が生じた時点ですでに金融機関のブラックリストには登録されてしまっていますから注意してください。




    自己破産を取り消して別の債務整理方法に変えたい場合







    具体的に自己破産を取り消してほしい状況としては、自己破産手続きの開始を裁判所に申し立てた後に、別の債務整理の方法(個人再生や任意再生)に切り替えたくなったケースが考えられます。



    実際、私が相談を受けた例でも、最初は自己破産しかないと思っていたけれど、よくよく調べてみると個人再生や任意整理を選択したほうがメリットが大きいことに気づいた…といったケースは少なくありません。



    自己破産はすべての借金を免除してもらえるというとても大きなメリットがありますが、その反面、生活していくために必要最低限の資産以外は債権者に分配しなくてはならないデメリットがあるのです。



    上でも説明させていただいた通り、いったん裁判所に対して行った自己破産手続き開始の申し立ては、裁判所側が手続き開始の決定を出した時点で取り下げができなくなってしまいます。



    予期しない不利益を受ける事態にならないためにも、債務整理の3つの方法(自己破産、任意整理、個人再生)それぞれの特徴について理解しておきましょう。。



    以下では、自己破産を他の債務整理方法(個人再生や任意整理)と比較した場合のメリット・デメリットについて解説させていただきます。



    手続き完了までにかかる期間の比較




    第一に手続きにかかる期間についてです。



    任意整理の場合は早ければ数週間以内で手続きが完了しますから、少しでも早く手続きを終わらせたい場合には自己破産や個人再生よりも任意整理を選択するのが適切です。



    一方で、自己破産や個人再生の場合は裁判所を通した手続きなので3か月~半年程度は時間かかるものと理解しておく必要があります。



    また、個人再生の場合は裁判所での手続きが完了した後、さらに3年間かけて軽減された借金を返済していく個人再生計画が始まります(自己破産の場合は免責決定が出て時点ですべての手続きが完了します)



    借金の負担軽減額についての比較




    任意整理の場合は借金の元本については減額は認められず、利息の免除だけが認められるケースがほとんどです(ここでいう利息には過去の未払い利息や遅延損害金だけではなく、将来的に発生する利息も含みます。つまり無利息の借金としてもらえます)



    個人再生の場合は借金の5分の4を減額し、最終的に5分の1程度にまで減額してもらった借金を、3年間の弁済期間で返済していくことになります。



    自己破産の場合は原則としてすべての借金が免除されます(つまり0円にしてもらえます)が、未払いの社会保険料や税金については免除されません。



    自分の財産の扱いについての比較




    任意整理の場合、どの借金について整理を行うか?を選択することができますから、担保権が設定されている借金について整理を行わない限りはあなたの財産を手放さなくてはならない事態は基本的に生じません。



    個人再生ではすべての借金について整理手続きを行う必要があるので、担保権が設定されている借金についても強制的に整理が行われます。



    そのため、原則としてそれらの財産(担保権の対象となっている財産)については換金して債権者に分配しなくてはなりません。



    ただし、個人再生には住宅資金特別条項というルールがあり、住宅ローンをこれまで通りに支払い続けることを条件にマイホームついては手放さなくても良いとしてもらうことも可能です。



    自己破産では原則としてすべての財産を手放す必要がありますが、100万円未満の現預金や、生活していくために最低限必要な家財道具などは所有し続けることが可能です。




    すでに免責を受けた自己破産が取り消されることはある?




    ここまでは「いったん開始した自己破産手続きを、自ら取り消したいケース」について説明させていただきましたが、逆に「取り消されたくない免責が取り消されてしまうケース」についても知っておく必要があります。



    裁判所がいったん出した自己破産による免責決定を覆す(取り消す)ことは非常にまれですが、以下のような条件に該当するときには取り消しが行われる可能性があります。



    財産の隠匿




    自己破産による免責が問題となるケースでもっとも多いのは、自己破産手続き開始時点において所有していた財産の一部を隠匿していた(隠していた)ことが発覚したようなケースです。




    自己破産手続きでは、借金をすべて免除してもらう代わりに、あなたが手続き開始時点において所有している財産を債権者に分配する必要がありますから、もし財産を隠していた場合には手続きに瑕疵があったとされてしまうのです。



    また、財産隠匿とは形式的には別の人の所有になっているけれど、実質上あなた自身の財産をみなされるよなケースも含まれます。



    具体的には、自己破産手続き開始直前の段階で配偶者や親族などに財産を贈与しているようなケースや、自分が経営している会社に現物出資するようなケースが該当します。



    もし財産を隠していたことが後から発覚した場合には、裁判所はすでに出した自己破産による免責決定を取り消す可能性があります。



    財産隠しに関連して、自分で事業をしている人の場合には売上計上の不備が指摘される可能性もあります。



    裁判所の手続きでは過去数年分の銀個口座の入出金までくわしく調べられますから、手続きの中で財産隠しが見逃されるケースはまれですが、自己破産を行った人の債権者などが後から調査を行ったようなときには発覚することがあります。



    まとめ




    今回は、自己破産手続きの取り消しについて解説させていただきました。



    本文で説明させていただいた通り、自ら取り消しを選択したい場合には自己破産開始の申し立てを早期に取り下げることが重要です。



    一方で、すでに免責を受けた自己破産手続きで、手続き上の瑕疵や免責不許可事由への該当が発覚した場合には、意図せずに免責決定が取り消されてしまう可能性もあります。



    自己破産による免責は借金の帳消しという大きな効果を得ることができますが、その分免責が取り消されてしまったときの影響も大きくなりますから注意が必要です。



    自己破産手続きについては専門家(弁護士や司法書士)と相談しながら、慎重に進めるようにしてくださいね。


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