自己破産の復権とは?職業制限とブラックリスト期間の違いを解説




自己破産手続きを開始すると、一定の種類の職業(警備員や弁護士、税理士などの士業)には就く資格が制限されてしまいます。



ただし、この職業制限は自己破産手続きが完了し、裁判所から免責決定が出されたタイミングで解除されます(これを復権といいます)



今回は、自己破産手続きと復権の関係について解説させていただきます。



自己破産からの復権とはどういうこと?







以下のような職業は、自己破産手続きを開始してから免責決定が出るまでの間は就くことができません(現在すでにこれらの職業についている人は、自己破産手続き期間中は業務を行うことができません)




  • 弁護士や司法書士、税理士や公認会計士などの士業
  • 宅地建物取引業者
  • 証券外交員
  • 保険募集人など




  • いわゆる士業といわれる人たちや、金融機関や不動産会社に勤めている人は仕事に影響が出る可能性がありますので注意してください。



    これらの職業の人は、人から依頼されて中立的な立場で仕事をすることが求められるため、自己破産手続き中には仕事ができない扱いになっているのです。



    私が相談を受けた例でよく聞かれるのが「公務員ですが、自己破産をしたらクビになりますか?」という点なのですが、結論から言うと問題はありません。



    国家公務員、地方公務員ともに免職や罰則規定に「自己破産による免責を受けたこと」は含まれませんので、公務員の人が免職されてしまうようなことはないといえます。



    (ただし、昇進などの問題については別問題ですので、自己破産による免責を過去に受けていることが出世に響く…といったことは生じる可能性はあります)



    また、職業とは異なりますが、以下のような法律上の身分も自己破産手続き中は制限されます。




  • 他人の遺言の執行人
  • 他人から委任を受けて行う代理人
  • 成年後見人




  • 成年後見人とは認知症などによって介護が必要な人がいる場合に、その人の法律上の代理人となる人のことです。



    自己破産手続き中には成年後見人としての活動ができなくなりますから、親族などで後見が必要な人がいる場合にはその間には別の代理人を設定するなどの対処が必要になります。



    なお、未成年の法定代理人としての立場は特に制限されません。



    これらの職業に就きたい場合には、復権が認められる自己破産による免責決定を待つ必要があります。



    自己破産手続きは、専門家への相談~裁判所の自己破産手続き開始申し立てまでで2か月~3か月程度、裁判所が自己破産手続きの開始を決定してから免責まではおよそ3か月程度です。



    開始手続きの申し立てを行うまでは職業制限はありませんが、裁判所の手続きが開始した時点で職業制限が生じる増すので注意してください。




    免責を受けた後は職業選択に何の制限もなくなる




    自己破産手続き開始~免責決定の間の職業制限は、免責決定が出た後はまったく制限がなくなります。




    すでに勤務先で担当している上記の仕事に復職しても問題ありませんし、新たに資格を取得することを目指すことにも問題はなくなります。




    ブラックリスト登録は別の問題




    以下は混同されやすい部分なのですが、復権とブラックリスト登録期間はまったく別の問題です。



    実際に私が相談を受けた例でもこの点を誤解され、「自己破産したら10年間職業制限があると聞いたのですが、本当ですか?」と質問される方がときどきいらっしゃいます。



    自己破産の場合でいう「10年間の制限」とは信用情報機関へのブラックリスト登録期間のことです。



    信用情報機関とは金融機関(銀行や消費者金融、クレジットカード会社など)がローンやクレジットカードの審査を行う際に参照している情報ネットワークのことです。



    この信用情報機関に事故情報(過去に返済が滞ったり、債務整理を行ったりした履歴のこと)が登録されていることを「ブラックリストに登録される」といった言い方をします。



    このブラックリスト登録期間中はローン審査やクレジットカードの審査に通過するのが非常に困難になります。



    金融機関は信用情報機関に事故情報が登録されているのを確認した時点で、その人のローン審査を審査落ちとするのがほとんどなのです。



    自己破産の場合には裁判所の免責が出た時点から10年間はこのブラックリストに登録されることになります。



    この期間中は生活のためのお金をローンやキャッシングに頼ることが一切できなくなりますから、普段からキャッシングやクレジットカードをよく使う方は生活に支障が出ないように注意しておかなくてはなりません。



    自己破産の場合には、事前に親族の人から支援を受けられるようにしておくなどの準備もとても大切になります。




    自己破産したことを職場に知られることはある?




    自己破産による免責を受けたことは、裁判所によって「官報(政府が発行している新聞のようなものです)」に掲載されます。



    そのため、勤務先の上司や経営者がこの官報を何らかの形でチェックしていて、あなたの情報が掲載されているのを見つけたようなときには勤務先に知られてしまうこともあるでしょう。



    しかし、官報を定期的にチェックしているような人は普通いませんから(ほとんどの人が官報といわれても「何それ?」といった感想だと思います)、官報への掲載が問題となるケースはまれでしょう。




    私が相談を受けたケースの中では、自己破産手続きの開始そのものよりも、借金の債権者から給料の差し押さえなどがされることによって勤務先に知られることが多いように思います。



    借金を放置していると、債権者側はあなたの財産や給料に強制執行(差押え)をかけてくる可能性が高いです。



    勤務先に借金の存在を知られたくない場合には、こうした手続きが行われるより先に債務整理を行う方が危険性は下がるといえるでしょう。



    このように、借金を放置したままにしておくことはいろんな面で影響が出ますから、早めに専門家に相談をすることをおすすめします。



    復権の2つの種類







    自己破産からの復権には、法律上2つの意味があります。




  • ①手続き完了などによる当然復権
  • ②裁判所への申し立てによる復権





  • これらの知識は職業制限に該当する方にとっては重要な話なので理解しておいてください。



    ①手続き完了などによる当然復権




    上では「自己破産による免責が認められた時点で職業制限からの復権が認められる」と説明させていただきましたが、このように「免責の時点で自動的に認められる復権」のことを当然復権と呼びます。



    当然復権は原則的な形での復権ですから、特別な手続きを行わなくても、裁判所の自己破産の手続きが進み、免責許可決定が出れば自然に認められることになります。



    やや問題になる可能性があるケースが、自己破産開始の決定が出た後、免責許可が出なかった場合です。



    一定の免責不許可事由に該当する事実がある場合には、裁判所に対して自己破産を申し立てても、最終的に免責が出ないことがあるのです。



    この場合、自己破産から個人再生などの別の債務整理の方法への移行を行うことが考えられますが、その場合には最終的に裁判所は個人再生計画の認可決定を出すことになります。



    この個人再生計画の認可決定も当然復権の原因となりますので、職業制限もこのタイミングで解除されることになります。



    ②裁判所への申し立てによる復権




    自己破産手続きを行ったものの、最終的に免責許可決定が出なかったときには、借金は自力で支払っていかなくてはなりません。



    この場合、免責許可決定が裁判所からは出されていませんから、このまま放置していると自己破産手続き開始による職業制限はそのまま継続することになってしまいます。



    これを避けるために、裁判所に申し立てを行って職業制限を解除してもらうことがあります。



    これが「申し立てによる復権」です。



    ただ免責不許可事由に該当するのはまれなケースで、専門家に相談しながら手続きを進めるときには裁判所への申し立て前に別の手段を講じるのが普通です。



    なので、申し立てによる復権が問題になるのは非常にまれなケースといえるでしょう。




    まとめ




    以上、自己破産手続き中の職業制限と、制限からの復権について解説させていただきました。



    自己破産による制限についてはとかく誤解されている部分が多くあります(一生つけなくなる職業がある、身ぐるみはがされて一文無しになる…など。これらは誤解です)



    これから自己破産手続きを行うことを検討している方は、復権についても法律上のルールを正しく理解したうえで判断するようにしてください。



    あなたの状況によっては自己破産以外の方法(任意整理や個人再生)が適していることもありますから、債務整理は弁護士や司法書士といった専門家と相談しながら手続きを進めるようにしてくださいね。


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